基礎部分の塗装は必要?基礎塗装のメリットと注意点について解説
2023/09/26
外壁塗装を行う際にどの部分までを塗装するのかということがわからない部分があるかもしれません。
もちろん見える部分は塗装をするのは当然なのですが、見えない部分については塗装をした方がよいのでしょうか。
そこでここでは建物の基礎部分について塗装をするべきなのか、塗装をすることでどんなメリットがあるのか、塗装する際にどんな注意点があるのかといったことについて紹介していきたいと思います。
建物の基礎とはどういった部分か
日本では戸建ての建物を建築する際には「基礎」と呼ばれる土台部分を作って、その上に建物を建てることによって建物を安定させるという方法がとられています。
ここでは建物の基礎がどういった部分なのかということについて紹介していきます。
建物の基礎の概要とは
基礎は中心となる部分を鉄筋で作っていき、だいたいの形を作り出してその周囲にコンクリートを流し込んで固め、形どって作り出していきます。
建築現場などで初期段階だと地面にコンクリートの土台部分だけがあるという期間があります。
このコンクリートの土台部分こそが「基礎」と呼ばれる部分なのです。
この上に建物部分が乗ってくるためにそれらができると基礎部分は見えなくなっていくのですが、建物が完成した時に外側から見て地面と接している40cmくらいの高さまでのコンクリートの部分が基礎部分となります。
建物はこの基礎の上部分に作られていくために基礎部分は「地面としっかりつながっていること」「傾いていないこと」が必須となります。
この基礎部分が地面にしっかり接地していない、傾いているということになると建物を建てた時に建物が傾いたり、地震の時に崩れやすくなったりしてしまいます。
こうして基礎部分を高くするというのは日本では重要なこととなります。
日本では森林が多く、湿気も高いために建物が地面と直接接していると虫が家に侵入してきやすくなります。
また、湿気が床部分に溜まりやすくなり、じめじめした家になってしまいます。
日本では雨もよく降るのですが、基礎部分の高さがないと家の中に雨が入ってきてしまうことにもなります。
実際に川が近い、海抜が低いといった地域などでは基礎部分を高くしているという工夫がなされています。
建物の基礎の種類にはどういったものがあるか
建物の基礎にはいくつかの種類があります。
・独立基礎
こちらは柱の下部分だけに設置されている基礎です。
一般的な住宅では独立基礎が設置されることはほとんどありませんが、ビルやマンションといった大型の建物では今でも多く利用されている基礎です。
・布基礎
布基礎は柱の下部分だけでなく、柱の間にも基礎が作られるものです。
「底板」と呼ばれる部分と立ち上がりの一体構造となっており、連続性のある基礎となります。
・ベタ基礎
建物を建てる範囲の地面に鉄筋コンクリート構造の「床スラブ」と呼ばれるものを作り、その床スラブと一体化するように立ち上がりを作るのがベタ基礎です。
建物の重さに耐えやすい、地震や風などに耐性が高いといった特徴があるため、最近の住宅で多く採用されている基礎となっています。
建物の基礎部分に塗装をすることは可能なのか
ではそういった基礎部分に塗装をするということは可能なのでしょうか。
たいていの建物の基礎部分はコンクリートでできており、その表面にモルタルを薄く塗って仕上げるという形式になっています。
そのため、コンクリートやモルタルに使用する塗料を使えば塗装をすることは可能ということになります。
ただ、塗装をするのは可能であっても塗装をするにはメリットとデメリットがあるために塗装するのが必ず正しいかどうかはわかりません。
雪や雨が多い地域なのか、地震が多いのか、大通りに面しているような建物なのかなどさまざまな条件によって塗装をするべきなのかどうかが違ってくるためです。
また、最近では新築の時点で基礎部分に塗装がされている場合もあります。
この場合は外壁塗装を行う際に基礎部分も塗装をした方が良いでしょう。これは美観からも性能面からも言えることです。
建物の基礎部分に塗装をするのは外壁塗装に含まれるのか
外壁塗装を行う際は業者に依頼することとなるのが普通ですが、では基礎部分の塗装は外壁塗装に含まれるのでしょうか。
これは業者によって認識が違っており、一概には言えない部分があるようです。
そのため、外壁塗装を依頼する業者に基礎部分が含まれるかは事前に確認しておき、必要な場合はオプションで対応するという業者もあります。
建物の基礎部分に塗装をするメリットとは
建物の基礎部分の塗装については業者によっても考え方が違うために意見が分かれています。
メリットとデメリットの両方をよく考えた上で選んでいくと良いでしょう。
見た目が良くなる
外壁塗装を行うと塗装した部分は綺麗に新しく見えることとなります。
この時、基礎部分を塗装していないとそこだけ古く見えてしまうこととなります。
外壁と合わせて基礎部分も塗装することで全体的に綺麗に新しく見えるようになるでしょう。
特に地面に近い基礎部分は土や泥が付きやすく、カビやコケが発生して薄汚れて見えることがあります。
基礎部分の表面にひび割れが起きてくるということもあります。
こういった基礎部分に塗装をすることで綺麗な見た目を取り戻すことができるのです。
また、塗装をするとひび割れ部分が補強できるだけでなく、カビやコケを発生しにくくするということも可能となります。
防水性を高めることができる
基礎部分は一般的にコンクリートでできています。
コンクリートは非常に吸水性の高い材質であり、もろくなる、崩れやすくなる原因となってきます。
コンクリートは紫外線や雨にさらされることで含まれているカルシウム化合物が二酸化炭素と化学反応を起こしてアルカリ性を失っていくため中性化と呼ばれる現象を起こしていきます。
コンクリートが中性化すると割れる、ひび割れする、剥がれるといったことが起こりやすくなります。
このコンクリートの表面部分を塗装することで基礎部分を紫外線や雨から保護し、中性化を防ぐことが可能となります。
このように防水性を高め、中性化を防ぐために塗装をすることがあるのです。
建物の基礎部分に塗装をするデメリット、注意点とは
基礎部分を塗装することにメリットもあるのですが、デメリットや注意点もあります。
ここではそれらの注意点について紹介していきます。
劣化していることに気づきにくくなる
基礎部分にひび割れがあったり、カビやコケが発生していると見た目からわかるという部分があります。
しかし基礎部分の表面を塗装することで劣化していても見た目でわからないというデメリットがあります。
また、家のどこかで水漏れが起きている際に基礎部分のコンクリートから水がにじみ出てくることがあります。
このにじみ出てくる水分によって水漏れに気づくことができる場合があるのですが、コンクリートの表面に塗装がされて防水性が高くなっているとそこで防がれることで水分が外までにじみ出てこないことがあります。
こうなると水漏れに気づけないということがあるのです。
このように塗装することで劣化していることに気づけないというデメリットが出てきます。
外部に湿気を放出できなくなる
基礎部分は地面と接しているため、地面からの湿気を常に受けていることになります。
本来であればすぐにコンクリートがダメになってしまいそうですが、コンクリートには吸湿性と放湿性の両方があるために、湿度が高くなると水分を放出するという機能もあります。
しかしコンクリートの表面を塗膜で覆ってしまうことによって水分を外部に放出することができず、基礎部分に湿気が溜まってしまうこととなります。
湿度が高くなるとカビやコケが発生したり、シロアリが発生する原因にもなります。
また、湿度が高いことで塗膜がはがれやすくなるということもあります。
こうした場合は湿度をある程度調節できる「コンクリート用の透湿性塗料」を使うのも良いでしょう。
費用が高くなる
コンクリートは本来耐久性が高いために塗装をする必要はないとされる部分でもあります。
そのため業者が外壁塗装を行う際にも基礎部分は外壁に含まれていないということがあります。
工事範囲に入っていない場合は基礎部分を塗装してもらうのには別に費用が発生することとなります。
外壁ほど広さはないためにそこまで高くはなりませんが、オプションで追加する費用くらいはかかると思っておいて良いでしょう。
もしこの基礎部分を「サービスで塗装しておく」と業者に言われた場合は要注意です。
サービスということで簡略化されることが多く、外壁部分と同じ塗料で塗装をしたり、下塗りをせずに上塗り塗装だけで済ましてしまうということがあります。
塗装した直後は綺麗に見えますが、こういった塗装はすぐに剥がれてきたり、ぼろぼろとめくれてきたりします。
「サービスで」と言われた時には注意しておきましょう。
保証されないことがある
外壁塗装を行う際には保証範囲が定められるのですが、基礎部分が外壁塗装に含まれていない場合は保証の対象外となることがあります。
保証の範囲外ということは基礎部分の塗装がすぐに剝がれてきたりしても保証されないということになってしまいます。
まとめ
建物の基礎部分は建物を安定して建たせるため、建物部分を湿度や虫から守るために非常に重要な部分となります。
コンクリートで作られることが多いこの基礎部分ですが、厳密には塗装をする必要はない部分でもあります。
基礎部分を塗装するのはメリットとデメリットの両方が発生してくるために、家の立地条件や目的などを含めて考えた上で基礎部分に塗装をするかを決めていくと良いでしょう。
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