ガルバリウム鋼板には塗装が必要?
2023/10/25
近年では多くの家屋でガルバリウム鋼板が使われています。
このガルバリウム鋼板は耐久性が高いため長持ちするのが特徴ですが、塗装などのメンテナンスが必要ないのでは?と考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ガルバリウム鋼板に塗装などのメンテナンスが必要かどうかについてや、劣化症状とメンテナンス方法について解説します。
ガルバリウム鋼板のメンテナンスについて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ガルバリウム鋼板とは?
「ガルバリウム鋼板」とは、鋼板にアルミニウム・亜鉛・シリコンをメッキ加工した建材です。
鋼板が鉄でできているためサビに弱いのですが、アルミニウムと亜鉛でメッキ加工することにより、耐久性を高めています。
ガルバリウム鋼板は耐用年数が長く、近年の新築物件などで多く使用されています。
また、ガルバリウム鋼板は軽量なのも特徴で、重さは従来の日本瓦の10分の1程度です。
軽量で耐用年数が長く耐震性もあるため、人気のある建材となっています。
ガルバリウム鋼板は塗装が必要?
ガルバリウム鋼板は、耐久性が高く、軽量なため耐震性が高いのが特徴です。
耐用年数が長いため、塗装などのメンテナンスは不要と考えている方もいるようです。
ただし、ガルバリウム鋼板でも他の建材と同様に経年劣化は起こります。
ガルバリウム鋼板は錆びにくい性質がありますが、まったく錆びないわけではありません。
そのため、他の建材と同様に塗装のメンテナンスが必要になります。
ガルバリウム鋼板に塗装をすることで、メッキ加工された部分の保護ができるため、錆の原因となる水分が鉄部分まで浸透しないため、建材を守ることができます。
ガルバリウム鋼板の耐用年数を維持するためにも、塗装などのメンテナンスは必要です。
塗装時期の目安
ここでは、ガルバリウム鋼板のメンテナンスの塗装時期の目安について解説します。
ガルバリウム鋼板の製造メーカーが推奨している塗装時期の目安は15年程度です。
ただ、環境にも影響されるため、10年〜15年程度と考えるのが妥当です。
実際、ガルバリウム鋼板の「スーパーガルテクト」を販売しているアイジー工業株式会社によると、塗膜が15年保証、赤錆が20年保証、穴あきが25年保証となっています。
これは保証期間なので、この期間を過ぎれば使えなくなるわけではありませんが、この保証期間の時期が塗装のメンテナンスの時期と考えるといいでしょう。
また、ガルバリウム鋼板の経年劣化を確認するためにも、簡単な定期点検は年に一度は行い、最低でも5年~10年に一度は、業者による詳細な点検を依頼しましょう。
ガルバリウム鋼板の建材の塗装のメンテナンスは、15年程度を目安に行いましょう。
ガルバリウム鋼板の劣化症状
前述したように、ガルバリウム鋼板の塗装のメンテナンスの目安は15年程度です。
ただ、これはあくまで推奨される目安であり、住居の立地条件や環境・気候によってこの時期は変動します。
ここでは、ガルバリウム鋼板の劣化症状について紹介します。
ここで紹介する劣化症状が見つかれば、ガルバリウム鋼板が傷んでいるサインとなるため、参考にしてみてください。
色褪せ
ガルバリウム鋼板の経年劣化で最初に生じるのが色褪せです。
特に、建材の光沢が低下してくすんでいるように感じたら、塗膜の劣化が始まっています。
光沢がなくなると色調に変化が起こるため、色が変わったように見えます。
色褪せはすぐにメンテナンスが必要な経年劣化ではありませんが、劣化が始まっているサインと思っておくといいでしょう。
苔やカビ
ガルバリウム鋼板に苔やカビが発生している場合は、塗膜の劣化がかなり進行していると言えます。
苔が発生している場合は、塗膜の性能がなくなっているため、本来は雨で流れ落ちるはずの汚れが落ちずに留まっています。
また、ガルバリウム鋼板の表面の塗膜が劣化すると、その下にあるメッキ鋼板の劣化につながり、錆が発生する原因となります。
そのため、すぐに塗装をして塗膜を復活させましょう。
錆
錆の種類には、白錆と赤錆があります。
ガルバリウム鋼板では、メッキ加工の亜鉛が劣化すると白錆が発生します。
ガルバリウム鋼板では、最初は白っぽい錆が発生し少しずつ増えていきますが、これはメッキ加工の機能が低下しているために起こる現象です。
さらに劣化が進行しメッキ加工の効力がなくなると、次は赤錆が発生します。
そのまま放置していると、赤錆の範囲がさらに広がってしまうため、早めの塗装が必要です。
錆がひどくなると、ガルバリウム鋼板そのものを交換する必要があります。
交換には多くの費用がかかるため、錆がひどくなる前に対処するようにしましょう。
塗装のポイントと注意点
ガルバリウム鋼板の塗装は、業者であっても難しい施工で、知識と経験がない場合はうまく仕上げることができません。
ガルバリウム鋼板は、汚れがつきにくく錆の発生や劣化が起こりにくい特徴があります。
ただ、これは表面がつるつるとしているため塗料を弾きやすいという側面があります。
ガルバリウム鋼板は塗料が密着しにくいため、塗装には技術と経験が必要です。
ここでは、ガルバリウム鋼板の塗装の注意点について解説します。
正しく塗装するにはケレン作業が大切
まずは、ガルバリウム鋼板の塗装の手順について解説します。
ガルバリウム鋼板を塗装する際には、まず全体を高圧洗浄して、苔などの汚れを落とします。
その後、ケレン作業で劣化した部分の古い塗膜や錆を除去します。
もし錆や汚れが残ったまま塗装してしまうと、新しい塗装がすぐに剥がれてしまうため、ケレンは重要な作業になります。
また、ケレンでガルバリウム鋼板の表面に細かく傷を付けることで、新しく塗装する塗料の密着度を向上させることが可能です。
そのため、ガルバリウム鋼板の塗装を依頼する場合は、このケレン作業の重要性を理解している業者に依頼しましょう。
ケレン作業が完了した後は、ガルバリウム鋼板に適した錆止め効果のある下塗り剤を塗布し、中塗りと上塗りで仕上げます。
ガルバリウム鋼板は塗装が難しいため、知識や経験がない業者に依頼してしまうと失敗する可能性が高くなります。
もし塗料を高性能のものにしたとしても、経験不足の業者が塗装すると長持ちせずに数年で剥がれてくるなどの現象が起きるかもしれません。
これでは耐用年数が長いガルバリウム鋼板を使っている意味がありません。
そのため、ガルバリウム鋼板の塗装は知識と経験のある業者に依頼しましょう。
公式サイトなどで施工実績を確認してみるのもおすすめです。
ガルバリウム鋼板のメンテナンスの基本
ガルバリウム鋼板のメンテナンスは塗装だけではありません。
ここでは、ガルバリウム鋼板を長持ちさせるために必要なメンテナンスについて解説します。
傷ができたら早めに補修する
ガルバリウム鋼板は耐用年数が長い建材ですが、傷が弱点となっています。
もし飛来物などがぶつかって傷ができてしまうと、そこから塗膜が剥がれ、その傷から錆が発生してしまいます。
錆が発生すると周囲に広がり、劣化が進んでしまうため注意しましょう。
ただ、ガルバリウム鋼板の屋根材の場合は、自分で見つけるのは困難です。
もし台風の後などで気になる場合は、業者に点検を依頼しましょう。
点検で傷が見つかれば、場合によっては部分的なタッチアップで補修が可能です。
傷から錆が広がるのを防ぐことが出来れば、鋼板までの劣化を避けることができます。
シーリングの劣化や棟板金
ガルバリウム鋼板の屋根材の頂部には、棟板金という金属部材がかぶせてあります。
棟板金は雨風の影響を受けやすいため、問題が発生しやすい部材です。
特に、経年劣化で釘が緩んでくるため、強風時に浮いたり剥がれたりすることがあります。
そのため、10年に一度は点検するようにしましょう。
また、棟板金に使われるシーリングの劣化の点検も必要です。
シーリングは棟板金の継ぎ目に充填されていることが多いですが、経年劣化により役割を果たさなくなります。
シーリングは雨水が浸入しないように施工しているため、シーリングが欠損していたりヒビが入っていると、雨水は簡単に棟板金の下地に浸入してしまいます。
そのため、下地を腐食させないためにもシーリングの点検・補修も重要です。
そんなシーリングですが、外壁においても非常に重要な役割を担っています。
外壁に関するシーリングについてはこちらの豆知識記事を御覧ください。
▷超高耐久のシーリング材「オートンイクシード」とは?機能性について解説
劣化がひどくなればカバー工事か葺き替え
ガルバリウム鋼板は耐用年数が長い建材ですが、どうしても劣化はしてしまいます。
特に劣化がひどくなると、ガルバリウム鋼板そのものを交換する必要があります。
ガルバリウム鋼板の屋根材の場合は、葺き替えやカバー工法の工事が必要です。
古い屋根材を撤去してから新しい屋根材をつけるのが「葺き替え」で、既存の屋根材の上から被せて施工する「カバー工法」です。
ただ、葺き替えもカバー工法も工事には費用がかかるため、定期的な点検や塗装などのメンテナンスで、早めの対処を行いましょう。
適切にメンテナンスをすることで、耐用年数を伸ばすことができます。
まとめ
ここまで、ガルバリウム鋼板の塗装のメンテナンスが必要かどうかについてや、経年劣化の種類、メンテナンスの方法と注意点について解説しました。
ガルバリウム鋼板は耐用年数が長い建材ですが、塗装のメンテナンスが必要です。
ガルバリウム鋼板の塗装時期の目安は15年程度ですが、気候や環境によって変動します。
また、色褪せや苔・カビ、錆などの劣化症状があり、見つかった場合は塗装などのメンテナンスを検討しましょう。
ガルバリウム鋼板の塗装には技術と経験が必要です。そのため、施工実績がある業者に依頼しましょう。