外壁塗装の工程「養生」について
2023/06/30
建築現場では「養生」は欠かせないものとして行われていますが、一般的にはあまり知られていない言葉かもしれません。
外壁塗装を行う際には工程に必ず「養生」が入ってきます。
そこでここでは外壁塗装における養生の必要性や方法などについて紹介していきたいと思います。
養生はなんのために行うものか
養生という言葉自体は他の業種でも使われている言葉です。
例えば引っ越しの際にも養生は行われています。
この場合は建物や家具などが傷つかないように毛布でくるんだり、養生シートを貼ったりするというものです。
外壁塗装においても近い意味で使用されることが多く、基本的には「建物の保護」のために行うというものになります。
外壁塗装における養生の目的とは
外壁塗装における養生の主な目的は「保護」です。
外壁塗装では大きく分けると2つの塗装方法があります。
・刷毛やローラーを使って塗料を塗る「手塗り」
・スプレーガンなどで塗料を噴射する「吹き付け」
です。
特に「吹き付け」を行う際には塗料が飛び散りやすいため、養生が重要となります。
このように塗料が外壁以外に付かないように保護するというのが養生の目的となります。
養生の範囲とは
ではどういった点を養生するのかということですが、基本的には「塗装したい部分以外すべて」ということになります。
「窓ガラス」「車」「自転車」「ドア」「植木」「ベランダや窓枠」「エアコンの室外機」など塗装する部分以外はすべて頂上の対象となります。
また、これは自分の家だけにとどまりません。
もし塗料がほかの家に付いたりすると責任問題となります。
近隣の住宅にも絶対に塗料がつかないように養生をしていく必要があります。
養生で使用される道具にはどういったものがあるか
養生を行う際には、その用途、養生する場所、範囲などによってさまざまな道具が使用されま
す。
ここでは養生で使用される道具について紹介していきます。
ポリシート、マスキングテープ、マスカー
窓枠を養生する際に多く使用されるのがポリシートです。
窓枠全体を大きいビニールのポリシートで覆って窓枠を縁取っていくようにマスキングテープで留めていきます。
ポイントは隙間ができないように「大き目のポリシート」を使うことと、粘着力が強すぎるとテープの跡が残ってしまうので「粘着力の弱いマスキングテープ」を使うことです。
この2つはセットで使われることが多いのですが、この2つの機能を併せ持っているのが「マスカー」です。
マスカーはポリシートとマスキングテープの機能が合体したもので、貼るだけで「覆って貼る」ということが可能となります。
マスカーの中には玄関やベランダなどに使われる、滑り止め機能がついた「ノンスリップマスカー」もあります。
ブルーシート、布カバー
こちらは「広い範囲」を養生したいときに使用されるものです。
ブルーシートは滑り止めがついていないので、固定したい場合は布テープ、養生テープなどで留めて使用します。
布カバーは滑りにくいので通路などにも使われています。
広い範囲をまとめて養生したい場合はこれらが使われています。
車、自転車、室外機などのカバー
それぞれカバーしたいものに合わせて「カーカバー」「自転車カバー」「室外機カバー」などがあります。
厚手のものや薄いものなどさまざまなものがあります。
特に室外機カバーについては、外壁塗装中にクーラーや暖房をつける際には室外機も稼働するためにメッシュ機能を持つものなどが使われることがあります。
飛散防止ネット
これは家全体を覆うようなイメージのメッシュネットのことを指しています。
外壁塗装を行う際には足場を組んで行うのですが、その際に足場にネットをくくって固定するものが多くなっています。
ある程度の通気性はありながら、塗料が飛散するのを防ぐことができるため、ほかの住宅への被害を抑えることができます。
養生の種類とそれぞれに必要な期間
外壁塗装の工事は一般的な条件では2週間前後となっています。
これには足場の組み立てや解体、乾燥期間や養生期間などが含まれています。
ここではそれぞれの養生の種類、内容と期間について紹介していきます。
・窓、庇、照明、電気メーターなど
こういった部分にはマスカーなどが多く使われています。
特に窓ガラスなどはすべての窓を養生する必要があります。
たいてい期間は4~8日程度となっています。
・エアコン室外機
エアコンが設置されている家には室外機があります。
こうした室外機は完全に密閉してしまうとエアコンが使用できなくなるので、エアコンを使用する場合などは覆うタイプの室外機カバー、メッシュタイプの室外機カバーなどが使用されます。
マスカーなどを使用する場合は空気が通るように穴を開けて使用することとなります。
こちらも8日間程度の期間となります。
・車の保護
こちらは家主の車だけでなく、近隣の車にも行う養生です。
特に風がある日などは塗料が飛散する可能性があるため、「カーシート」によって車を保護します。
車を丸ごと覆うような大きなサイズのものとなっており、車を傷つけないためにやわらかい素材のものが多くなっています。
塗料の吹き付けを行う日、高圧洗浄を行う日などに使用することが多くなっています。
そのため期間は3日間程度となります。
・玄関、ベランダなど
人が通る可能性がある場所ではノンスリップマスカーなどを使用して養生を行います。
汚れにくいだけでなく、滑り止めがついているため安全面でも安心して使用できるものとなっています。
こちらは片づけをする直前まで使用することが多く10日前後の使用となっています。
養生を行う際の注意点
養生は外壁塗装においても重要度の高い作業となるのですが、それだけに注意しなければならな
いことが多くある工程でもあります。
家の換気などが行えなくなる
養生をしている期間は窓全体をマスカーなどで覆ってしまっていることが多く、その期間は窓を開けることができません。
そのため、養生期間は基本的には窓を開けて喚起するということはできなくなります。
また、エアコンの使用などについても室外機を養生している関係がありますので、事前に業者に確認しておいたほうが良いでしょう。
植木など植物が多い場合は注意が必要
養生期間が長くなると植木などの植物が枯れることがあります。
これは「水がやりにくい」「酸素や日当たりが不足する」といったことが原因です。
さらに養生が不適切だと植物に塗料が付いてしまうこともあります。
植木などが多い家の場合はそれらに注意が必要となります。
外壁塗装をしている期間、どこかに預けられるのであればそのほうが安心ということもあります。
養生はトラブルが多い作業工程でもある
実は養生はトラブルが多い工程でもあります。
養生が不適切だったために、
・塗料がついてはいけない窓ガラス、家具、植物などについた
・仕上がりが綺麗ではない
・塗料がほかの部位に飛んでしまっている
・隣の家の壁や車などに塗料がついてしまった
といったことが起こるためです。
外壁塗装の塗料はかんたんには落ちないということもあって大きなトラブルになりやすいのです。
まとめ
「養生」は外壁以外の部分を保護するために必要な作業です。
ここが不適切に行われるとトラブルのもとになることが多いため、慎重に行う必要があるといえます。
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