外壁塗装で雨漏り修理は可能?外壁からの雨漏り原因と対策について解説
2023/11/27
建物のトラブルで深刻なものとして雨漏りがあります。
この雨漏りには修理が必要で、業者に依頼する形になりますが、外壁塗装で雨漏り修理ができるという話を聞いたことがあるかもしれません。
一般的に、雨漏り修理は原因の特定が難しく、修理が難航することがありますが、外壁塗装をすることで雨漏り修理は可能なのでしょうか。
この記事では、外壁塗装で雨漏り修理が可能かどうかについてや、外壁が原因の雨漏りの種類とその対処法について解説します。
外壁塗装で雨漏りは直る?
外壁塗装で雨漏りが直るかどうかですが、基本的には外壁塗装だけでは雨漏りを直すことはできません。
外壁にひび割れや穴がある場合は、それらをふさぐ補修をしてから塗装する必要があります。
塗装だけではひび割れや穴はふさぐことができず、雨漏りは直りません。
また、雨漏りの原因が外壁ではない場合もあります。
外壁塗装でできるのは雨漏りの予防
外壁塗装は、あくまで外壁の素材を保護するためのもので、雨漏りの修理ではなく予防と考えておきましょう。
外壁材は水分を吸収すると膨張し、乾燥すると収縮する性質があります。
また、建物自体が振動すると外壁材が動きます。
このような動きによって、外壁材にひび割れが発生したり、コーキングのひび割れが発生し、外壁材とコーキングの間のはがれにつながります。
外壁塗装は、外壁材の水分の吸収を軽減したり、コーキングの劣化を軽減に効果があり、あくまで予防という位置付けです。
外壁塗装で直る雨漏りの原因
外壁塗装で直る雨漏りは基本的にはありませんが、特定の原因にのみ外壁塗装で直る場合があります。
ここでは、外壁塗装で直る雨漏りの原因について解説します。
施工時の塗装ミスや技術力不足による雨漏り
通常の原因の雨漏りは外壁塗装では直りませんが、施工時のミスが原因の雨漏りは外壁塗装で直るケースがあります。
例えば、モルタルのような現場で材料を混ぜて職人の手で仕上げる外壁材の場合、職人の技術力によって仕上がりに大きな差がでます。
新築からまだ間もないのに雨漏りが発生した場合は、このケースを疑ってみてください。
特に、施工時の塗料の量が少なかったり、塗りムラがあるなどの原因で外壁にひび割れが発生していることがあります。
このような施工時のミスが原因の場合は、塗り替え塗装することで雨漏りが直ります。
ただし、塗料や外壁材の下には防水シートなどの雨水を防ぐ資材が入っているため、塗料のみが直接の原因になることは珍しいと言えます。
鉄骨・鉄筋コンクリート造の建物の場合
建物が鉄骨・鉄筋コンクリート造の場合は、一次防水のみの構造になっていることが多いため、塗り替えで雨漏りを予防する補修をすることがあります。
ただし、すでに雨漏りがしていて防水層に水が入ってしまっている場合は、塗装以外の補修作業が必要になります。
外壁塗装で直らない雨漏りの原因
外壁塗装で直らない雨漏りの原因には、主に「設計・施工不良」「防水材・材料の経年劣化」の2種類あります。
まず、設計・施工不良が原因の場合は、外壁塗装では直らないため、根本的な要因を取り除く必要があります。
経年劣化が要因の場合は、以下の2つの外壁防水構造から原因を把握しましょう。
外壁の防水構造には、最終止水ラインが以下の2種類あります。
・最終止水ラインが防水シート
・最終止水ラインが外壁表面
最終止水ラインとは、ここが突破されると雨漏りが発生してしまう部分のことです。
最終止水ラインが防水シート
最終止水ラインが防水シートになっている場合は、雨漏りの原因は防水シートの不具合です。
防水シートに釘穴が開いていたり、サッシ枠との間に隙間がある場合に発生します。
この防水構造となっている外壁には、窯業系サイディング・金属サイディング・モルタル通気構法などがあります。
このケースでの雨漏りの修理方法は、外壁材をはがして防水シートを直すことです。
最終止水ラインが外壁表面
最終止水ラインが外壁表面の場合は、雨漏りの原因は外壁の不具合です。
外壁表面にあるひび割れや欠損、コーキングの劣化などの隙間が原因で雨漏りが発生します。
この防水構造となっている外壁には、モルタル直貼り外壁、ALCパネル、コンクリート外壁などがあります。
このケースでの雨漏りの修理方法は、外壁表面の隙間をふさぐことです。
外壁からの雨漏り修理の費用相場
ここでは、外壁からの雨漏り修理の費用の相場について解説します。
シーリング材の工事を行う場合は、1平方メートルあたり950〜1,200円、
シリコン塗料を使った塗装工事の場合は、1平方メートルあたり3,500円、
弾性塗料を使った塗装工事の場合は、1平方メートルあたり5,500円、
モルタルの張り替え工事の場合は、1平方メートルあたり12,000円、
サイディングの張り替え工事の場合は、1平方メートルあたり14,000円が相場です。
ただし、雨漏りの原因や外壁の種類や状態によって、費用は変わるため、この金額はあくまでも目安と考えてください。
外壁からの雨漏りの事例
外壁の劣化が原因で発生する雨漏りには、さまざまな事例があります。
ここでは、その事例についていくつか紹介します。
サイディングからの雨漏り
まずはサイディングから発生する雨漏りの事例です。
窓回りとのシーリング劣化部からの浸入
サイディングから発生する雨漏りに多いのは、窓回りとのシーリングの劣化部から雨水が浸入するケースです。
シーリングが劣化した部分から雨水が浸入し、窓回りから雨漏りが発生してしまいます。
シーリング材は紫外線の影響などで劣化しやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。
サイディングの目地からの浸入
サイディングでは、サイディングボードを貼り合わせて施工しますが、その目地にシーリング材を注入します。
このサイディングの目地の部分から雨水が浸入することで雨漏りが発生します。
この場合もシーリング材の劣化から雨水が浸入することで雨漏りの原因となります。
また、サイディングの重なり目地からも雨水が浸入することがあります。
こちらもシーリング材の定期的なメンテナンスで予防できます。
ALCからの雨漏り
ALC外壁は、建物の鉄骨の動きによって、ALC外壁自体に力がかかり、ひび割れが発生することがあります。
このひび割れから雨水がALC外壁の目地に伝わり、下の階の開口部や床から雨漏りすることがあります。
モルタル外壁からの雨漏り
モルタル外壁の直貼り仕様は、雨漏りが最も多い外壁となっています。
経年劣化でモルタル外壁にひび割れが発生することで、防水シートの施工時に使用したホッチキスの針から雨水が浸入し、室内での雨漏りの原因になります。
金属サイディングからの雨漏り
金属サイディングは、サイディングボードを貼り合わせて施工しますが、そのボードの継ぎ目から雨水が浸入することがあります。
そのため、継ぎ目から雨水が浸入した場合でも、下から排水できる構造が必要です。
一般的に外壁塗装で雨漏りを予防できますが、排水するための隙間を塗料でふさいでしまうと、かえって雨漏りするようになるケースもあります。
外壁の雨漏り修理事例
ここでは、外壁が原因で発生した雨漏りの修理事例について解説します。
サイディングの張り替え
外壁のサイディングが原因の雨漏り修理は、まずはサイディング表面にある隙間をふさぐためにシーリング材の修理を行います。
サイディングの表面をふさいでも雨漏りが直らない場合は、サイディング自体を解体して、その中の防水シートを補修することで雨漏りを止める、サイディングの張り替えを行います。
このタイプの雨漏りは、たいていは開口部の上から浸入する雨漏りになるため、開口部周辺の防水シートの施工が重要です。
そのため、サッシのフィンに両面防水テープを貼り、防水シートを隙間なく施工することがポイントです。
金属サイディングのカバー工法
外壁サイディングが原因の雨漏りの場合、サイディングの表面に金属サイディングをカバーするという修理方法もあります。
この方法は、築年数や雨水が浸入しそうな場所が多くある場合に用いられます。
施工方法としては、既存のサイディングの上に下地胴縁を設置し、その上に金属サイディングでカバーします。
施工することで外観が大きく変わってしまいますが、確実に雨漏りを止めることができます。
弾性塗料での防水処理
ALC外壁のひび割れが原因で雨漏りしている場合、シーリング処理と弾性塗料を塗装することで雨漏りを止める修理を行います。
通常の塗料を用いると、躯体の鉄骨の動きによって、再びひび割れが発生する可能性があるため、ひび割れの追従性が高い弾性塗料での施工が必須になります。
まとめ
ここまで、外壁塗装で雨漏り修理が可能かどうかについてや、外壁からの雨漏りの原因と対処法などについて解説しました。
基本的に、外壁塗装のみの施工で雨漏り修理はできません。ただし、施工時のミスなどが原因の場合は、塗り直しをすることで雨漏りが改善されるケースがあります。
たいていの雨漏りは外壁からの雨水の浸入が原因で発生しますが、外壁塗装では雨漏りは直りません。
外壁にひび割れがある場合は補修が必要ですし、シーリングから雨水が浸入している場合は、シーリングの補修が必要でしょう。
このように、外壁が原因の雨漏りは数多くありますが、外壁塗装で直る雨漏りはほとんどありません。
もし雨漏り修理業者が外壁塗装だけで施工しようとしている場合は、その理由を訪ねてみてください。